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【探究会レポート】主体的な行動を引き出すポイントは組織の構造にあった!たのたね探求会Vol.2
シミンズシーズのマネージャー「おざりん」こと小笹雄一郎です。
自主経営組織論で脚光を浴びている「ティール組織」が日本で広まるきかっけとなった書籍の翻訳者である嘉村賢州さんをお呼びして、一人ひとり自律的に働く組織・チームの探求をテーマに「たのたね探究会 Vol.2」を開催しました!
この記事では、当日の様子や印象に残った内容をご紹介していきます。
(たのたね探究会の概要や講師の紹介、次回のたのたね探究会の案内を記事末尾に掲載してあります)
イベント概要
たのたね探究会vol.2
一人ひとりが自律的にはたらくこれからの組織・チームのつくり方
日 時:2023年3月21日(火祝)14:00-16:00
会 場:オンライン(サテライト会場 かわのまちリビング)
当日の様子
19名(会場8名/オンライン11名)に参加いただき、講義の合間に参加者同士での感想共有の時間を設け、質疑応答の時間など双方向のやりとりを交えながら進めていただきました。
講義は大きく二つのブロック「プロジェクト運営」と「組織運営」に分かれており、嘉村さんの実体験をはじめ、現場のあるある話を交えながらお話しいただき、難しそうなティール組織の内容もすっと入ってくる内容となっていました。
印象に残ったこと
改めて感じたことは、シミンズシーズが得意としている「ファシリテーション」や「参画型のプロジェクト運営」は、組織運営とも延長線でつながっているということでした。組織の階層構造によって引き起こされる力学を理解し、取り入れられることから始めていければ思いました。
前提知識はネットで紹介されていることも多いのでそちらに譲るとして、今回の探究会で特に印象に残ったことついて紹介します。
丁寧なチームづくり「musubiサイクル」
組織やチームの形態は「統率型・参画型・自己組織型」と大きく3つ。正解が見えない変化の激しい現代の世界では、一人のリーダーが仕切る「統率型」ではなく、みんなが考え、誰の指示を受けることなく進めてく「自己組織型」であることが求められます。
では、どのように自己組織型で運営していくのか?プロジェクトファシリテーションのフレームワーク「musubiサイクル」について解説いただきました。
「musubiサイクル」のプロセスは[前提共有]→[チームビルディング]→[目的]→[未来像]→[シナリオ]→[成功要因]→[詳細計画]→[実施]→[振り返り]→[目的]→・・・(以下、[未来像]とくるくる回るサイクル)」となっています。
「musubiサイクル」をどのくらい時間をかけて実施すればいい?
会場から「どのくらい時間をかければいいか」について質問も。時間はかけようと思えばかけられるに越したことはないですが、忙しい現場においてそれは難しいです。「3〜4時間×3回」とすることが多いそうです。
ちなみに、全てをベルトコンベア的にやる必要はなく、プロジェクトがうまく機能していない場合、この中のどこかのステップを飛ばしていることが多いとのこと。
各ステップの詳細はこの会では十分に理解しきれなかったため、実践してみながら落とし込んでいきたいと思います!
オレンジの潜在的な課題、グリーンの罠
ティール組織の概念を端的に表しているこの図は有名です。特にオレンジとグリーンについて触れていただきました。
オレンジが抱えている潜在的な課題
「身分関係なく頑張れば出世できる」という結果で組織をドライブさせる「オレンジ」は、常に競争にさらされています。成長を続けなければ必要とされなくため、常に焦りや焦燥感を感じています。必要のない製品を生み出し、食品の破棄など持続可能性における問題を生み出しています。
また、オレンジのリーダーは結果責任を負っているため役割の範囲が多い(計画づくり、モチベーションアップ、隙間を埋めるなど)。また、現場の雰囲気(風土管理)を悪くしている原因がリーダーが引き起こしてしまっていることも。業務遂行責任と風土管理の両方を担うことは難しい。
メンバー視点で見ると、調整対象が多く辟易したり、階層構造にによる指示・承認プロセスで納得感がないまま進むことも多く、受け身になってしまいがち。一方、リーダーは責任を背負ってるので考え抜き成長します。メンバーは「上が承認したでしょ」と最終責任を負わないため、リーダーとメンバー間には成長スピードに差が生じるという問題も潜んでいます。
グリーンの罠
トップダウンではなく、みんなの多様性を重視する「グリーン」に待ち受ける罠は「船頭多くして船山に登る」です。会議が多くて前に進まない、やりたいことがあっても、忙しすぎて新しいことができない。みんなを大事にするあまりつぎはぎの60点のアイデアで決まってしまう。熱量が乗らないため決まったことが前に進まない、などの問題が起きます。
ティール組織運営においての重要な「ソース原理」
そういった問題を解決していける組織形態がティール組織です。さらに最近、注目を浴びている「ソース原理」(ティール組織の筆者は、発刊時に知ってたら必ずティール組織の書籍内で紹介していた!と言われるほど)。
アイデアはどのようなプロセスで具現化されるのかについて、事例を元に探求する中で見出した原理。ティール組織と共通する部分が多いことに気づいたそうです。
天性の感性を持った「ソース役」と呼ばれる人のもと働くとなるとブラック企業のような独裁政権になるイメージがありますが、組織運営で、ソース役の力をうまく活かすことが重要とのこと。
グリーンの罠を抜け出すための3つの作法
1)創業者や経営者のセンサーを活かす(ソース)
2)一人ひとりのセンサーを取り戻す(現場ならではのセンサーがある)
3)集合的に聴く
ソース役は権力で統率するのではなく「自分は本当に何がしたいのか」に耳を澄まし、現場の声に耳を傾ける。現場はソース役の助言を受けながら現場で意思決定をする。といったことがポイントでした。
つい現場のオペレーション的なことに気をとられがちで、当初掲げていた目的を見失っていた、なんてこともよくありますよね。一人ひとりが「自分が決めたんだから自分がなんとかする」そんな覚悟と責任を持てる組織運営を行なっていくことが重要なんだなと感じました。
まずはできるところから
今日の内容では、自分たちでできているところもあれば、まだまだ取り組めていないこともたくさん発見がありました。特にオレンジやグリーンで起きるリーダーとメンバーに起こる問題は「組織の構造によるものだ」という言葉が印象的でした。そういった問題が起きた際、個々人の問題として捉えるのではなく、組織の構造や関係性に着目し、どういったシステムで問題が起きているかに目を向けていきたいと思います。
参加者全員に資料もご提供いただけたので、日々のプロジェクト運営で、取り入れられるところから取り入れて行ってみたいと思います。(すでに新規プロジェクトでは、musubiサイクルを実践してみてその感触を確かめることができました)
講師プロフィール
1981年、兵庫県明石市生まれ。京都大学農学部を卒業後、IT企業で営業職を経験。2008年に組織づくりや街づくりの調査研究を行うNPO法人「場とつながりラボhome’s vi(ホームズビー)」(京都市)を立ち上げ、代表を務める。2018年4月、東京工業大リーダーシップ教育院の特任准教授に就任。2018年、書籍「ティール組織」フレデリック・ラルー著の日本語版を監修。
たのたね探究会とは
NPO法人シミンズシーズが主催する、これからのたのしいのタネを探究する会(略して「たのたね探究会」)。スタッフや理事が今知りたい未来を開くために必要な知見を学ぶため「自律」をキーワードに、様々な専門分野で活躍する講師をお招きして不定期開催している勉強会です。シミンズシーズの会員の皆さまはもちろん、探究テーマに関心がある方はどなたでもご参加いただけます。
次回のたのたね探究会のご案内
次回のたのたね探究会は、書籍「なんのために経営するのか」の発刊を記念して、理念づくりに関するテーマでお話をいただきます。
たのたね探究会 Vol.3
「想い」を社会に広げるには?
チームや社会の文化をつくるブランディングとは
ゲスト:株式会社パラドックス 鈴木 祐介さん
日 時:2023年5月27日(土)14:00-16:00会 場:かわのまちリビング(オンライン参加も可能です)
この記事でもお分かりいただけたかと思いますが、かなり内容の濃い探究会となっています。相互にコミュニケーションをとりながら多角的な視点で学びを得られることも特徴です。ぜひ、次回もご参加お待ちしております^^ 詳細が決まりましたら、当サイト・Facebookにてご案内します。